レビュー

「交通誘導員ヨレヨレ日記」(著:柏耕一)の感想~他人事じゃない!?

交通誘導員ヨレヨレ日記の感想

 

柏耕一さんの「交通誘導員ヨレヨレ日記」読みました。

 

この本は著書である柏耕一さんの実体験を元に書いた本で”ドキュメント”とも言えます。

 

かといって重たい雰囲気でもなく、交通誘導員としての苦労話や出来事をコミカルに描いています。

こんな方におすすめ

  • 仕事探し中の50歳以上
  • 今の仕事に嫌気がさしている
  • 老後の生活に経済的不安がある

街に出ると必ずと言っていいほど目にする交通誘導員の姿。

 

私も毎朝の通勤途中で交通誘導員の方を見かけます。

 

私がなぜこの本に興味を持ったのか?

 

この本を知ったきっかけは新聞広告でした。

 

私は今のところ交通誘導員になる予定はありませんが、なぜかその世界をのぞいてみたい誘惑にかられました。

 

そして即効でネットで注文しました。

 

街で見かける交通誘導員の方には高齢者の方が多いように思います。

 

サラリーマンならとっくに定年を過ぎているだろう年齢の方もなれる交通誘導員の仕事とはどんな世界なのか?

 

興味があったからです。

 

ただし、傍目に見て

 

「仕事楽そう」

 

と思ったことは一度もありません。

 

うだるような暑い夏の日も、凍えるような冬の日も外で立って交通誘導している姿は「本当に過酷な仕事だな・・・」と思ったものです。

 

「彼ら交通誘導員の日々の苦労に比べれば、自分の仕事なんてまだ楽かも・・・」とさえ思ったものです。

 

おそらくフリーランスであろう交通誘導員の方と、同じくフリーランスである自分の現状が重なったのも、本書に興味を持った理由の一つです。

 

「きっと傍から見るよりずっと厳しい世界だろうな・・・」と思いながら本書を手に取りました。

 

交通誘導員は誰でもはなれない!?

 

交通誘導員になるための敷居は低いかもしれないが、はたして誰でもなれるだろうか?

 

よほど切羽詰まった状況じゃないとこの過酷な労働環境には耐えられないと思います。

 

意外と若い世代の人が少なく、高年齢の方が多い理由はそこにあるのかもしれません。

 

60歳を過ぎるとほんとに仕事なんて見つからないと思います。

 

かと言って、わずかな年金では到底暮らしてゆけない・・・

 

それでも毎日食うためには金が要る・・・

 

歳がいけばたとえ健康であってもできる仕事は限られてきます。

 

そんな実状の中、交通誘導員は高齢化社会を象徴した職業だと思いました。

 

トイレも行けない?

 

本書にも書かれていましたが、仕事中は食事や休憩はもちろん、トイレさえ我慢しなければいけない時もあるようです。

 

空腹・トイレといった生理現象を抑えるのは人間誰しもキツイですよね。

 

交通誘導員の一番ツライところかなと思いました。

 

あとは仕事の場所やパートナーが日々違うというのもこの仕事の特徴かなと。

 

どうしても仕事上の人間関係が希薄になってしまうのもわかります。

 

毎日違う人と仕事をするのに、仕事上の人とのつながりが築けないのは残念だなぁと思います。

 

結局仕事はどれも大変

 

交通誘導員は”最底辺の職業”だと著者本人が自嘲しています。

 

しかし、似たような境遇の人・仕事は他にもたくさんあると思います。

 

本書の中で私が特に心に残った一文がこれです。

 

本文第一章、73Pに書かれている

 

働けば日払いもあり家がなければ寮がある。(中略)とりあえず就業すれば最低限の社会生活が可能なのが警備員かもしれない。

 

本書の中では交通誘導員のおよその収入も書かれています。正直、

 

「こんなに苦労して、割に合わない仕事だな・・・」と思います。

 

”最低限の社会生活が可能”

 

というところに切なさも感じますが、交通誘導員の実情がよくわかる一文だと思いました。

 

他人事ではない

 

この本を読んで正直”他人事ではない”と思いました。

 

近い将来の自分かもしれない、そんな思いがよぎりました。

 

日本で生活するにはお金が要ります。

 

定年退職して、就職できない歳になってもお金は必要です。

 

十分な退職金、年金を受け取って人生セミリタイヤできる人の方が少ないんじゃないでしょうか?

 

結局、老後の自分(夫婦)の生活を守るのは自分自身なのです。

 

そんな高齢化社会において交通誘導員になることは”自衛策の一つ”とも言えるのではないでしょうか?

 

交通誘導員ヨレヨレ日記の感想まとめ

 

交通誘導員ヨレヨレ日記を富み終えて

 

本はとても読みやすいです。

 

長文小説とは違い、隙間時間に暇つぶしに読むことができます。

 

交通誘導員の実態を垣間見たような気持ちになります。

 

過酷な世界が舞台の作品ですが決して読後感は悪くありません。

 

「皆苦労しながら頑張って生きているんだ」

 

と勇気付けられると同時に、

 

最悪だと思っていた自分の置かれている毎日が

 

「実はまだマシかも?」

 

と思わせてくれます。

 

この本を読んで一番思ったのは「交通誘導員は思った通り心身ともに大変な仕事だ」ということです。

 

交通誘導員の仕事に対するイメージは人それぞれだと思いますが、私は予想通りでした。

 

体力・気力・根性がなければやっていけないというのがよくわかりました。

 

やっぱり、

 

誰でもなれる?

 

わけではない?

 

著者であり73歳現役交通誘導員でもある柏さんにエールを送りたいです。

 

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